GPJapan 2013年6月号

GPJapan 2013年6月号 page 5/8

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概要:
解を得つつ、賞味期限の延長に取り組む。 ③は、賞味期限の長い品目の年月表示への変更など、消費者にとって分かりやすい期限表示に工夫する。賞味期限の長い品目は品質劣化のスピードが遅く、消費段階で日付管理す....

解を得つつ、賞味期限の延長に取り組む。 ③は、賞味期限の長い品目の年月表示への変更など、消費者にとって分かりやすい期限表示に工夫する。賞味期限の長い品目は品質劣化のスピードが遅く、消費段階で日付管理する意味が乏しい反面、日付順に納入される流通段階で食品ロス発生につながる場合がある。これは日付逆転と呼ばれる問題で、1 日でも、あるいは非常に短い期間でも納品の順番がずれると流通段階で受け取れないことがある。店舗に入れる場合でも、先入れ・先出しが徹底されているので、後から来た商品が新しい場合には対応しにくい問題がある。 賞味期限3 カ月以上の品目については、年月日ではなく年月表示が認められている。ミネラルウォーターについて、大手飲料メーカー5 社が今年5 月の商品発売から従来の年月日表示のものを年月表示に改めていく動きがある。これにより、消費者にとってはそれほど意味のない日にちを表示することなく、流通段階では日付逆転が起きて返品、ロスにつながることが少なくなるだろう。 ④は、消費者の理解を得ながら、表示基準の問題も含め、環境省庁と連携して取り組みを進める。 ⑤は、加工食品以外の日配食品についても実態把握と検討を実施。また、商慣習の見直しを行ってなお生じる廃棄等については、フードバンク等の活用や積極的なリサイクルを行う。フードバンク活動の紹介 セカンドハーベスト・ジャパンでは月曜日から土曜日まで、スーパーマーケット(SM)に食品を取りに行っている。野菜や果物、パン類だが、多いときはSM のワゴン6 杯分くらい出る。これを東京・山谷の10弱の施設に運び、生活困窮者の支援施設で袋詰めにして配る。 海外では、フィリピンで栽培したオクラを日本に輸出する企業では、大きすぎたり小さすぎたり、少し傷が付いていると全て廃棄。年間約600トンを取り扱っているが、100~200トンは捨てている状況。 日本では2011年の米の生産量839万トンと同じくらいの食品を捨てている。内閣府の食育基本法第1 章第3 条では、食に対関する感謝の念と理解を育てることが必要としている。私も以前、食品企業で食育事業をやっていたが、ここまで言及する事業は少ない。賞味期限はあくまで目安でしかないので、臭いをかいだり、目で見たりして食べられるかを判断する。こういった基本的な食育はまだまだ必要なのではないか。◆食品ロスはゼロになるのか このシンポジウムを通じて啓発をすれば明日ロスが減るのかというと、私は減らないと思う。ロスを具体的にどうするのかを議論しなくていけないのではないか。私が食品メーカーにいたときにはロスのことなんて気にしたことはなかった。当時からセカンドハーベスト・ジャパンに食品を寄贈していたが、売れなくなったらあげればいいかなという程度。企業の方はお分かりだろうが、売上げを伸ばすことが先決なので、いくらロスを減らしてもそれは成績にならない。売上げからみると優先順位から落ちるので、真剣に取り組みにくいのではないか。 また、メーカーのときに1 / 3 ルールはおかしいなと思ったが、声を上げにくい。メーカーは小売店で欠品が発生したらペナルティがあるので、どうしても多めに生産していく。それを一企業だけでなく、全国で行えば余るのは当たり前。こんな社会構造の中でロスがゼロになるわけはないし、このままでいけば減るわけはないと思っている。セカンドハーベスト・ジャパン広報室長・プロジェクトマネジャー井手留美氏食品ロス削減シンポジウム みんなで取り組む食品ロス削減②GPJAPAN 2013.6 29